精神疾患の人の食べ合わせの悪いモノは?
下世話ながら子どものころ、グレープフルーツを半分に切って、砂糖をかけて食べるのが好きでした。
でも今は、もう一生、食べられません!
それもそのはず、グレープフルーツには「フラノクマリン」という、厄介な成分が含まれているんです。
この成分が、肝臓で薬を分解する酵素の働きを阻害してしまうのです。
精神疾患を抱える方々にとって、食事は単なる栄養補給だけでなく、心の状態にも大きな影響を与える可能性があるんです。
薬を服用している皆さんは、特に食事との相互作用に注意が必要なんです!
中には気にしない方もいらっしゃるかと思います。
ご存知かと思いますが、もう一度、ここで、おさらいをしましょう。
精神疾患と食事の関係は?
薬と食事の相互作用
精神科薬剤の中には、特定の食品との相互作用によって効果が変化し、副作用が現れやすくなるものがあります。
MAO阻害薬(うつ病などの精神疾患の治療に使われる薬の一つです)
チーズや赤ワイン、レバーなど体を作るタンパク質の材料となるアミノ酸の一種・チロシンを含みます。
この食品との組み合わせは、高血圧や頭痛などの副作用を引き起こす可能性があります。
この薬の副作用
MAO阻害薬は効果が高い一方で、次のような副作用が現れることがあります。
高血圧危機: チロシン(チーズや赤ワイン、レバーなど)を含む食品を摂取すると、血圧が急上昇する可能性があります。
眠気、めまい: 立ちくらみなどの症状が現れることがあります。
口渇、便秘: 消化器系の症状が現れることがあります。
体重増加: 体重が増加することがあります。
女性の方はお気を付けて。
注意点
食事制限: MAO阻害薬を服用中は、チロシンを含む食品を避ける必要があります。
他の薬との相互作用: 他の薬との相互作用により、副作用が強まる可能性があります。
妊娠中・授乳中の服用: 妊娠中や授乳中の服用は、医師とよく相談する必要があります。
MAO阻害薬を服用中の方へ
服用している方は、次の食品の摂取を控えるようにしましょう。
チーズ: 特に熟成が進んだハードチーズやブルーチーズ。
発酵食品: ソーセージやサラミ、キムチなど。
赤ワイン: 赤ワインにはチラミン以外にも、MAO阻害薬との相互作用が懸念される物質が含まれています。
レバー: レバーにはチラミンの他にチロシンというアミノ酸も豊富に含まれています。
MAO阻害薬との相互作用により、高血圧を引き起こす可能性があります。
三環系抗うつ薬(うつ病などの精神疾患の治療に使われるお薬のグループの一つです)
グレープフルーツジュースとの併用は、薬の効果が強まりすぎてしまう可能性があります。
なぜグレープフルーツが?
なぜグレープフルーツが薬に影響を与えるのか?
薬の効果が強まる可能性
薬の分解が遅れることで体内に薬が長く残り、その効果が強まってしまうことがあります。
副作用のリスク増大
薬の効果が強まることで、副作用が出やすくなる可能性もあります。
精神疾患の薬との相互作用
抗うつ薬
一部の抗うつ薬はグレープフルーツと一緒に摂取すると効果が強まりすぎるなどします。
また副作用が出やすくなる可能性もあります。
抗精神病薬
抗精神病薬も、グレープフルーツとの相互作用が報告されています。
抗不安薬
抗不安薬の中には、グレープフルーツと併用することで眠気が強くなります。
また、ふらつきを感じやすくなる可能性があるものもあります。
注意すべき点
服用中の薬の種類
どんな種類の精神疾患の薬を服用しているのかによって、グレープフルーツとの相互作用の程度は異なります。
医薬品情報
服用する薬の添付文書や、薬剤師に必ず確認するようにしましょう。
他の柑橘類
夏みかんなど他の柑橘類にも同様の成分が含まれている場合があります。
気を付けましょう!
バランスの取れた食事を!
精神疾患と栄養
精神疾患の種類や服用している薬の種類によって、必要な栄養素は異なります。
一般的に精神疾患を持つ方は、以下の栄養素が不足している傾向があると言われています。
ビタミンB群
(私たちの体がエネルギーを作り出すために欠かせない栄養素の集まりです)
特にビタミンB12は、うつ病との関連が指摘されています。
ビタミンB12は、私たちの体にとって非常に重要な栄養素です。
特に神経系や血液の健康維持に深く関わっています。
近年、ビタミンB12の欠乏が、様々な精神疾患と関連していることが注目されています。
オメガ-3脂肪酸
(私たちの体が自ら作り出すことができないため、食事から摂る必要がある必須脂肪酸の一種)
うつ病の改善に効果がある可能性が示唆されています。
オメガ-3脂肪酸を多く含む食品
青魚: まぐろ、サバ、イワシなど
ナッツ類: くるみ、チアシード
植物油: 亜麻仁油、エゴマ油
セロトニン
(私たちの脳内で作られる神経伝達物質の一種)
トリプトファンというアミノ酸から作られ、心の安定に重要な役割を果たします。
※トリプトファン=体にとって必要不可欠な栄養素の一種で、必須アミノ酸と呼ばれています。
トリプトファンが含まれる食品
乳製品: 牛乳、ヨーグルトなど
豆類: 大豆、レンズ豆など
ナッツ類: アーモンド、くるみなど
肉: 鶏肉、豚肉、牛肉など
魚: マグロ、鮭など
チーズを食べる際の注意点
チーズ
チーズには、チロシンとトリプトファンの両方が含まれています。
過剰摂取は避けましょう。
量
チーズは高カロリーな食品であるため、食べ過ぎには注意が必要です。
種類
低脂肪のチーズを選ぶなど、工夫をしましょう。
他の食品との組み合わせ
チーズを他の食品と組み合わせることで、栄養バランスがよくなります。
例えば、野菜や果物と一緒に食べると、より健康的な食事になります。
精神疾患を持つ方が食事で気を付けるべきこと
バランスの取れた食事
三食バランスの取れた食事を心がけ、色々な食品を取りましょう。
規則正しい食事
食事を規則正しく取ることで、血糖値の急激な変動を防ぎます。
そして気分の安定を図りましょう。
加工食品の控えめ
塩分や糖分が多い加工食品は、できるだけ控えめにしましょう。
カフェインの摂取量
カフェインは不眠や不安感を増強させる可能性があるため、過剰摂取は避けましょう。
アルコール
アルコールは精神科薬剤の効果を変化させます。
副作用を増強させる可能性もあるため、医師に相談しましょう。
食事でできること
栄養士への相談
栄養士に相談することで、自分に合った食事療法についてアドバイスを受けることができます。
食事記録
自分が食べたものを記録することで、栄養バランスを見直すことができます。
料理教室への参加
料理教室に参加することで、バランスの取れた食事を作る技術を習得できます。
ビタミンB12と精神疾患の関係
ビタミンB12が不足するとどうなる?
神経系
しびれ感や平衡感覚の喪失や、筋肉の動きにくさ、
記憶力低下や集中力の低下、うつ状態や不安感のほか、
幻覚や妄想などが現れます。
血液
貧血(疲れやすい、息切れしやすいなど)
ビタミンB12と精神疾患の関係
うつ病
セロトニンなどの神経伝達物質の合成を阻害し、うつ状態を引き起こす可能性があります。
※セロトニン=私たちの脳内に存在する神経伝達物質の一種で「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。
双極性障害
躁うつ状態の変動を大きくしたり、症状を悪化させたりする可能性があります。
統合失調症
統合失調症の症状を悪化させる可能性があります。
認知症
特に高齢者において記憶力低下や認知機能の低下を引き起こします。
そして認知症のリスクを高めていくのです。
ビタミンB12欠乏の原因
食事からの摂取不足
肉や魚、乳製品などの動物性食品に多く含まれるビタミンB12を十分に取れていません。
これらをバランスよく取ることで、ビタミンB12が効果的に取れるようになります。
吸収不良
加齢や胃の手術、腸の病気などによりビタミンB12の吸収が悪くなっています。
遺伝的な要因
ビタミンB12の吸収に関わる遺伝子の異常があります。
注意点
ビタミンB12の過剰摂取は、副作用を引き起こす可能性があります。
ビタミンB12の欠乏が精神疾患の原因であるとは限りません。
まとめ
食事は心身の健康を維持するために非常に重要な要素です。
薬を服用している場合は必ず医師や薬剤師に相談してください。
そして自分に合った食事を心がけましょう。
グレープフルーツや他の柑橘類の摂取については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。
自己判断で摂取を中止したり、量を増やしたりすることは大変危険です。
ビタミンB12は、精神の健康維持に重要な役割を果たしています。
精神疾患の治療は、医師の診断と治療が大事ですよ。
そして、もう一つ大事なのは、くれぐれも薬は水で飲みましょう。